Mega Wing 搭載前?
SKY Ⅳ; Mighty Wing
 31f7単弦(B1-D#7)。デザインの関係上1~3列目は 31f、4~5列目は30f、6~7列目は29fとなっており、棹は低音側21f高音側26f接続のセットネックで指板と共にメイプル、ミディアムフレットでスカラップ有。1989年夏迄に完成*10とのことで、低音弦を追加した斜傾抱撮向けのソリッドボディ・エレクトリックギターでは現状確認される最古の7コース・ギターとなる。

 胴材はマイティ・ウィングと全く同じ仕様とされる7単弦ミレニアムからはマホガニーと推測される。加工性・耐久性・乾燥性が高く狂いも少ないことから古来より銘木として知られており、通常は家具や彫刻、自動車内部の木製装飾部に利用。特にホンジュラス(Honduras)産の物が珍重される。ソリッド・ギターでは中音域が豊かで丸みのある音が出るとされているが、「中音域」が具体的にどの範囲の音をどのような状態で鳴らしたものかは不明。

 音域の高低に関して全楽器共通の定義があるのかは不明だが、一般論としてエレクトリック・ギターでいう「中域」は、或る音に含まれる400㎐~1㎑の成分を指し、「低域」は100~250㎐、「高域」は1㎑以上。弾弦時のアタック音については固定音高調弦で1~3㎑中心の成分と考えられている。また所謂「ドンシャリ」と呼ばれる音色は出音のうち800~1k㎐の成分を削ったものをいう。
 PUはスカイギターシリーズ唯一の2PU仕様でフロントは27~29f直下にある。完成当初の搭載種はリフレックスであったと推測されるが未確認。メガウィング完成以降はH-H仕様で搭載。制禦系はマスターボリューム、高域と中域のイコライザーコントローラー、ゲインコントローラー、PUバランサー*11。 また別に5セッティングPUセレクターもある。初期に低域イコライザーの存在も語られたことがあるもののその後メディアでの解説では高域と中域のみ登場しており詳細不明。メガウィング搭載前はボリューム、トーン、ゲインとPUセレクターだったと推測される。アルバム『天上の至楽(TRANSCENDENTAL SKY GUITAR)』のブックレットには現在の物と仕様の違うS-H配列3ノブ仕様のマイティ・ウィングが写っており、これがメガウィング搭載前の物である可能性もあるが詳細は不明。

 開発当時としては実験的な試みとなる7単弦用下駒の製作はロッキンガー社が担当、テンション・スプリングは3本、カウンター・スプリングは2本施されている。弾弦部の弦間は狭く、7コース分が6コース用PU幅に収まる範囲内で弦高およびテンションはPUのトーンを考慮して高めとのこと。複数の写真からの概算による推測では下駒での弦間が9~9.4㎜ほど、上駒巾は47.5㎜ほどと思われるが、詳細確認中。

 糸巻は1~4列目がスパーゼル製のロック式、5~7列目がクルーソン(Kluson)製・デラックス(Deluxe)。2001年頃ロック式は外す予定があると語っていたがその後も仕様は変わっていないと見られる。 2006年末頃からトゥロニカル製パワー・チューンの7単弦仕様の開発を始めているが、6単弦仕様と異なるプログラムやピエゾPU搭載下駒の製作が必要となるため2008年11月現在も未搭載。

 塗装はギターに付いているアクセサリーが元になっている。これはU.J.ロートがアンティークショップで見つけたブローチで宝石的な価値はない。護板は金鍍金を施した真鍮製。現在のU.J.ロートのメインギターで、柔軟性があるところからクラシック音楽などの複雑な曲に使用されるということだが、演奏会ではロック音楽も含めて多くの演奏で利用されており、2005年頃からはほぼこれ1本で通すことが多かった。しかし調弦の手間を嫌うU. J.ロートは2007年頃からトゥロニカル製パワー・チューンが搭載されたエンペラーを演奏会で多く利用するようになり、同機能未搭載のマイティ・ウィングは利用頻度が落ちている。また2008年11月現在、フレットが減って29fの音にビビりが生じるようになっていると語っている他、護板の鍍金剥がれや響胴の一部に塗装剥がれなども目立つようになってきている。

 名称は英語で「強力な翼」もしくは「大きな翼」といった意味合いかと推測されるが、J.ヘンドリクスの「リトル・ウィング(Little Wing)」に対応している可能性も考えられる。1993年12月以前には名付けられており1994年1月には雑誌記事での発言にも見られ、以降この名前で呼ばれることが通常。響胴裏側の棹胴接続部付近に「Mighty Wing」とサインが入っているところ、製作段階で既に名付けられていた可能性もある。5号機デスティニーとの対概念からは不死鳥を表す希語起源の英語「フェニックス(Phoenix)」という別称を持ち、アルバムの副題とも関係している。

 調弦に関しては一般的なもので7列目はB1に設定。これは規則的にE2の4度下を導入したもので、理論的に考えて自然に決まったとのこと。既述の通りそれまでの7列目の調弦といえばA1やC2、D2などが一般的だったが、U.J.ロートは当初からB1以外全く考慮しておらず、5単弦・6単弦ベースやA4追加の7単弦ギターも含めて他楽器の情報も一切知らなかったと語っている。追加の理由が単に低音域の拡張だけではなく運指上の観点が含まれていることも影響しているとみられる。それでも変則の可能性を排除するわけではなく、かつて誌上では曲によってG1まで下げることもあると語ったこともあり、現在でも時々C2またはA1をとることがあるとのこと。その他J.ヘンドリクスの曲では短2度下げ、A. L.ヴィヴァルディ作曲の所謂「四季(和声とインヴェンションの試み 作品8 第1集~第4集 Il Cimento Dell'Armonia e dell'Inventione (Opus 8) 協奏曲第1番 ホ長調 「春」Concerto Nr.1 in mi maggiore "La primavera" RV 269, 協奏曲第2番 ト短調「夏」Concerto Nr. 2 in sol minore "L'estate" RV 315, 協奏曲第3番 ヘ長調「秋」Concerto Nr. 3 in fa maggiore "L'autunno" RV 293, 協奏曲第4番 ヘ短調「冬」Concerto Nr. 4 in fa minore "L'inverno" RV 297)」演奏時は1~3列目のみ半音下げ。これは半音で28f相当の音があるためとみられる。

 7単弦スカイ・ギターの開発自体は1986~87年頃に始まったが、1978年には既にストラトキャスターは低音に制約があると述べており、エンペラー開発過程でも棹を延長し従来より2f分弦蔵側にフレットを追加したベースエクステンションを試している。また1985年前半には、フェンダーは嬰記号が多い調の楽曲、ニ短調、ヘ長調はいいが変記号が多い調の楽曲には向いておらずホ調も低音に制限があるのでフレットを作らずにニ長調にするシステムを開発しカポタストでEにしたいといったアイデア等も語っている。当時は通常長2度下げでブルドンをE2やD2にしていたようだ*12。2f分の指板延長から7列目追加へと変更された動機は更に低い音が出せると考えたからとのことで、1986年に作曲を始めた「スカイ協奏曲(Sky Concerto)」では既に7単弦ギターを想定している。作曲時点ではまだ7単弦ギターを手にしていないが、通常ピアノで作曲を行うので問題なかったようだ。この曲は翌87年に完成し初のスカイギターとオーケストラのための協奏曲となったが、初のソリッドボディ7単弦ギターとオーケストラのための協奏曲であり、またギター協奏曲全体を見渡しても7単弦ギターを想定した数少ない作品の1つとなっている。作品そのものは録音も実演もされていないが2001年に楽譜が出版されている。なお当曲を未完成とする記事もあるが出所不明で調査中。

 ちなみに1991年2月に誌上で語った7単弦ギターの利点は次のようなものだった(抄約)。

 ・ヴィオロンチェロの音域確保(※原文ではスカイギターを対象に高域拡張も含めてバスを除く弦楽の音域確保と語っている)
 ・取りうる調性の拡大
 ・ハ長調、ロ短調、嬰ハ長調の音響充実
 ・新しい和声の可能性
 ・3オクターヴにわたるフレーズやアルペジオの簡便化
 これらのうち、音域や調性の拡大、音響の充実といった効果は古くから言われている。詳細は後述。 ソリッド・ギターでは7単弦ギターの特徴として一般的に低音域の拡充が挙げられ、 広域演奏での運指上の利点が具体的に指摘されることは少ないが、5単弦ギターと比較をすれば6単弦ギターでも同じ事が行われており、5単弦ベースでの5列目ミドル・ポジションを利用した運指やヴィオロンチェロでの高域演奏時の低音弦利用等と並んで不文的ノウハウとして知られている。このような異弦同音を利用した移動の節約は棹胴接続位置の高域化やカッタウェイ導入など高音域演奏向けの工夫がより進んだエレクトリック・ギターで特に発揮する効果とも言える。 しかし1990年代末でも7単弦ギターの利点についてはかなり曖昧にされており、プロ奏者や専門誌レヴェルでも「カッコイイ」「目立つ」といった物珍しさを売りにしている状況は存在した。こうした中、星野楽器製アイバニーズ・ブランドの量産型が注目を浴びて間もない1991年初頭時点で既に7列目付加の利点をここまで具体的に語っていたエレクトリック・ギター奏者は数少なかった。

Mega Wing
 メガウィング(Mega Wing)は"英国イコライザーの父" と言われるリフレックス・ピックアップス社のチーフエンジニア(当時)、ジョン・オーラム(John Oram)とU.J.ロートの共同開発によって1990年に生まれたPUと制禦系やイコライザー、外部電源供給ボックスからなる一連のシステムの総称で2PU以上で良好に機能し、3PU仕様がフル装備となる。

 メガウィングはU.J.ロートが1985年の北米ツアー中にサンタバーバラで夢に見たソプラノ・ヴィオロンとギターを合わせた様な音を目指して作られた。また人間の声とソプラノ・ヴィオロンの中間の音を出す、ストラトキャスター風とレスポール風のサウンド双方が出せるPUといったコンセプトもあった。公における初使用は1990年9月21日にベルギーのブリュッセルで行われたジミ・ヘンドリクス・ショウでのエンペラーへの搭載。その後数度に亘る改良が加えられている。1991年3月にフランクフルト(Frankfurt am Main)で開催されたフランクフルト・ムジーク・メッセ(Frankfurt Musik Messe)に出品された。

 なお、リアに使用される3.5×7.0cm四方(通常の6コース・ギター用ハムバッカーとほぼ同じサイズ)のメガウィングの外装は銅(Cuprum, Copper)製でU.J.ロートによる四翼天馬が描かれている。1990年代前半にリフレックス社から販売されていた最初期量産型は通常の黒いプラスティックカヴァーのみ。2000~2001年頃に旧公式通販サイトのスカイアーツ・インターナショナル(SKYARTS INTERNATIONAL)から販売されていた公認モデルでは再現されているとしていた。

 PUは4本のコイルから成るハムバッカーがフロントとリアに、シングルがセンターに使用される出力の高いアクティヴPUでリフレックス製PUを基にU. J. ロート独自の好みを加味して製作されており、6コース・7コース両用。4コントロール及び5コントロール仕様ではシングルから4コイル・ハムバッキングへはバランサーによって連続的な変更が可能である。

 制禦系は基本装備でボリューム、ゲイン、トーン、5セッティングPUセレクター、フル装備状態でボリューム、ゲイン、高音域イコライザー、中音域イコライザー、、シングル/4コイルハム・バランサー、5セッティングPUセレクターからなる。1991年に低音域イコライザーの存在が語られたこともあるがその後この点に関する情報はなく実装されたかは不明。リフレック社から発売されていた頃は3コントロールで、スカイアーツ・インターナショナルから販売されていた頃は5コントロール。 いずれも低音域イコライザーは無し。最新の物はコントロールが1点減っており4コントロール。イコライザーが1点になったものと思われるが詳細確認中。

 メガウィングはPU単体ではパッシヴとして機能するもののシステム全体ではアクティヴなため18V又は36Vで駆動する電源供給ボックスが必要となり、ステレオリードによってプラグ・イン・パワーで供給されるが、9V電池2基との代用も可能である。最初期のリフレックスから販売されていた頃は9Vで駆動しており、 U. J. ロートが出力を上げたと語った事があることから当初はスカイギターも9V駆動だったと考えられる。改造時期は音量の変化と証言から1995~1998年頃と推定される。

 スカイアーツ・インターナショナル製はシリアル番号とU.J.ロート・J.オーラム両氏のサインの入った証明書、U.J.ロートによる解説書、取付説明書が付属した製品が1400~1700米ドル(後に1000米ドルに下がったらしい)で販売されていた。リフレックス社からのものは300~500米ドル程だったようだ。

外部電源供給ボックス

※マイティウィングを聴くことの出来る音源
 ELECTRIC SUN 『EARTHQUAKE』(1981年 ※再販版のボーナストラックのみ)
 SKY OF AVALON 『PROLOGUE TO THE SYMPHONIC LEGENDS』(1996年、ZEROコーポレーション)ソロ全て
 Uli Jon Roth 『TRANSCENDENTAL SKY GUITAR』(2000年、日本クラウン)Vol.1のほぼ全てとVol.2の独奏曲等
 Uli Jon Roth 『LEGENDS OF ROCK LIVE AT CASTLE DONIGTON』(2002年、日本クラウン) #1「Sky Overture
 Uli Jon Roth 『METAMORPHOSIS OF VIVALDI'S FOUR SEASONS』(2003年、日本クラウン) 全曲
 Uli Jon Roth 『THE BEST OF ULI JON ROTH』(2006年、SPV) CD1-#1, 1-#3~#13, 2-#6
 Uli Jon Roth 『THE BEST OF ULI JON ROTH』(2007年、Marquee) CD1-#1~#10, #14~18、CD2-#9~#10
 Uli Jon Roth 『UNDER A DARK SKY』(2008年、Marquee)
 Uli Jon Roth 『UNDER A DARK SKY』(2008年、SPV)


※マイティウィングを視聴可能な映像
 Uli Jon Roth 『LEGENDS OF ROCK LIVE AT CASTLE DONINGTON』(2002年、日本クラウン) #1「Sky Overture
 SKY OF AVALON 『PROLOGUE TO THE SYMPHONIC LEGENDS』(2005年再発、Steamhammer)ボーナス映像「Cry of Night
 Uli Jon Roth 『THE BEST OF ULI JON ROTH』(2007年、Marquee) CD1-#20ボーナス映像「Cry of Night
 SCORPIONS 『A NIGHT TO REMEMBER - A JOURNEY THROUGH TIME』(2007年、BMGジャパン) #6「Pictured Life」、#7「Speedy's Coming」、#8「We'll Burn the Sky」、#22「Still Loving You」、#23「In Trance」、#24「Bolero
 various『LIVE AT WACKEN 2006』(2008年、ジェネオンエンタテインメント) #34「Speedy's Comming
 公式サイトのVideo Archiveで視聴可能な映像(無料)
 Uli Jon Roth 『METAMORPHOSIS OF VIVALDI'S FOUR SEASONS』(2003年、日本クラウン) #1「Prelude to the Seasons」~#2「Venga la Primavera
 Uli Jon Roth 『LEGENDS OF ROCK LIVE AT CASTLE DONINGTON』(2002年、日本クラウン) #1「Sky Overture
 他、Uli Jon Rothのmy spaceでも数曲試聴可能(無料)

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*10  マイティ・ウィングの完成年に関する記述は1987~1989年までメディアによって バラつきがあるが、本稿では旧日本語公式サイトの年表を採用した。U.J.ロート本人も同様にコメントしており、 開発を始めたのが1986年か87年だと思うとのこと。「夏」の範囲に関しては現在確認中。 公における初使用は確認出来る中では1993年4月23日の交響楽団共演となるが、存在自体は1991年4月28日のブリュッセル公演まで遡ることが出来る。それ以前の使用履歴があるのかは現在調査中。

左が単層、右が2層
*11  外見上ツマミは5点だが最下部が2層式になっている。 従って詳細な機能割はデスティニーと違うものと考えられる。1~3号機の仕様から推測すれば護板の曲線に沿って上から マスターボリューム、中音域EQ、ゲインコントローラー、高&低音域EQで、下駒右手がバランサーではないかと考えられるが、 低音域イコライザーは無いと考えた場合はデスティニー同様下駒右手が高音域EQで、最下部はフロントとリアを別々に 調節できるようにしたバランサーと考えられる。現在調査中。 なおイコライザーはスタジオ並の品質で低域は18㎐(C#0が17.32㎐、D0が18.35㎐)の音でも拾うとのこと。

*12
Fring PanKirk Sand
 ソリッド・ギターの7コース仕様は1931年に既述のリッケンバッカー製ハワイアン・ギター、フライパンで6単弦仕様に続いて間もなく23f7単弦仕様も発表しており、ほぼ同時にその歴史を歩み始めている。股上横越のスライド・ギターや撥捩プサルテリウム(Plucked Psaltery)ではホロウボディの物でも8単弦仕様が、またツィター(Zither)では古くから数十もの弦列を備えるのは珍しくないことから、7コース以上の仕様がエレクトリックタイプにそのまま受け継がれた可能性もあるが、一般に必ずしも知られた仕様でなかったらしく、当時のカタログパンフレットには7単弦仕様についての説明が付されている。それによれば、想定調弦はシャントレルにA4を加えたものが標準で、もう1つの選択肢として低音A2を加える可能性にも言及している。これはイ長調調弦を想定しており、低音追加については開放弦でのA2が無いことを考慮している(調律は「Sky 序 脚注の表中ビーチャム調弦参照」)。G.ヴァン・エプスが7列目を加えた時に意図したものとは違うようだ。説明ではまた、追加された弦が端に位置することから、和声上不必要な時は外して使うことも可能であるとしている。

 斜傾抱撮用として作られたソリッドボディ・エレクトリック・ギターとしてはメイン州(Main)オーバーン(Auburn)出身のジャズ・ギター奏者レニー・ブロウ(Leonard "Lenny" Breau)が1981年頃カリフォルニア州のトム・ホームズ(Tom Holmes)に製作を依頼したものが現状確認される最古の物となる。その後カーク・サンド(Kirk Sand)製20f仕様も製作され、メインギターとして使用された。1983年6月14日のトロント(Toronto)での演奏が『クワイアテュードQUIETUDE』として1985年末に発表されている。これはシャントレルにA4を追加した仕様で、その前身として1979年頃ドーフィン(Dauphin)製のホロウボディ型ナイロン弦ギターでも同様の仕様を備えていた。この調弦そのものはルネサンス期の7コース・ヴィオラ・ダ・マーノにも既にみられる他、ギターが5コース化した初期にも存在していた。和声が複雑な楽曲の場合所謂ロウ・ポジションでの対応和音が増えることで移動が省略でき演奏が簡便になるという効果や、長3度の位置がずれることから調弦の変更なくリュート曲へ対応しやすくなるという効果もある。

 L.ブロウの場合、開発のきっかけはニュージャージー州(New Jersey)出身のジャズ・ピアノ奏者ビル・エヴァンズ(ウィリアム・ジョン・エヴァンズWilliam John "Bill" Evans)の和声を理想とするもので、適した弦を探し当てるまでは釣り糸を使っていたようだ。ナイロン弦の楽器では材質が同じで種類も豊富な釣り糸が流用されることは古楽器の分野でも行われている。金属弦ギターの高音弦に使われる程度の細さのナイロン線を使用するとA4等は比較的容易に出せるとのこと。またガットと同比重 の繊維状ナイロンから成るナイルガットと呼ばれる弦も存在し、基準音を下げて全体の張力を落とすことで通常金属巻弦を使っている低音弦もナイロン弦で対応出来る為複弦楽器等でも全弦ナイロン弦で対応している物がある。現代では楽器ごとに専用の弦が売られていることが多いが、獣腸弦の時代はハープの弦を基準にしてソプラノ・ヴィオロンやギターなど各種弦楽器に割り当てていたこともあったようだ。A.アブレウが1799年にサラマンカで出版した『5コース及び6コース・ギターを完璧に演奏するための教程(ESCUELA PARATOCAR CON PERFECCION LA GUITARRA DE CINCO Y SEIS ORDENES, ...)』に解説を寄せているレアル・モナステリオのオルガン奏者ビクトル・プリエト神父は、ギターの2列目にソプラノ・ヴィオロンの細めのシャントレル、3列目にはソプラノ・ヴィオロンの太めのシャントレルが合うとしている。なお47弦グランド・ハープでは現在でも音域によって金属巻弦、獣腸弦、ナイロン弦が混在している。巻弦に金属が使用される前はガットを巻いた物や細いガットを編み込んで巻いた物、金属粉末を混入して比重を上げるローデッドと呼ばれる物もあったようだ。また巻きの粗密によってオープンワウンド、ハイツイスト等と区別されている。

 原理的には低音を出すために太い弦を使用する、太い弦に一定の張力を与える為に弦長を伸ばすといった過程を単位長あたりの重量・密度を増すことで省略した工夫。17世紀後半に生まれ弦の数や調律の多様化にも影響した。ギターでは18世紀まで5列目A2弦のみ巻弦だったところ、ゴータ出身でワイマール(Weimar)で活動していたヴィオロン製作家ヤーコプ・アウグスト・オットー(Jakob August Otto)が3列目D3及び4列目G3に初めて巻弦を採用したとの情報があり、真偽のほどを確認中。金属巻弦自体は1660年頃開発された、1675年頃既に存在していたとの情報があり確認中。ガット製巻弦は18世紀半ば以降で、これによって張力が上がったことから下駒の強化に繋がったという。20世紀後半のナイロン弦でも張力の増加傾向があり、1980年代以前にハイ・テンション扱いだったものが1990年代半ばにはノーマル・テンション扱いになっているという指摘がある。音色はより華やかになったという。

 J. A.オットーはまた、1788年以降にアンナ・アマリア公爵夫人(ザクセン=ヴァイマル=アイゼナハ公エルンスト・アウグスト2世妃アンナ・アマーリア・フォン・ブラウンシュヴァイク=ヴォルフェンビュッテルAnna Amalia von Braunschweig-Wolfenbüttel)がイタリアから持ち帰ったギターを元にドイツで初めてギターを製ったという話もある。より詳しくは詩人・軍人テオドール・ケルナー(Carl Theodor Körner)の父クリスティアン・ゴットフリート・ケルナー(Christian Gottfried Körner)が妻ミーナ・ストック・ケルナー(Minna Stock Körner)のために友人の詩人ヨハン・クリストフ・フリードリヒ・フォン・シラー(Johann Christoph Friedrich von Schiller)を通じてJ. A.オットーにギターの製作を依頼したということのようだが真偽確認中。

4複弦ギターのゲージ例(単位:㎜)
弦長510㎜ G3
G4
C4 E4 A4
Nylon 0.89
0.45
0.65 0.525 0.45
Carbon 0.7
0.37
0.525 0.4 0.37
 因みにドイツ初のギター奏者はドイツ最後のリュート奏者でもあるクリスティアン・ゴットリープ・シャイドラー(Christian Gottlieb Scheidler)、ドイツ初の出版ギター譜は1803年にアンドレアス・トレーグ(Andreas Träg)が編曲した「独奏ギターのための変奏曲及びフルートとギターのためのピアノ・ソナタK. 331」と言われている。当時のドイツではギターと聞いてツィターと混同されるような状況だったらしい。

 ナイロン弦はアルバート・オーガスティン(Albert Augustine)が楽器用の弦として初めて商品化し、A.セゴヴィアと親しかった歌手のオルガ・コエーリョ(Olga Coelho)がニュー・ヨークで初めてギターの弾き語りに使用した。ただしプレーン弦に関してはナイロン線を加工せずそのまま使用していることからA.オーガスティンが商品化する以前にガットや絹の芯線を使った巻弦と混合して使用された可能性もあり調査中。 ナイロン(Nylon)はデラウェア州(Delaware)ウィルミントン(Wilmington)にあるデュポン社(Du Pont)の中央研究所有機化学主任研究員だった有機化学者ウォーレス・ヒューム・カロザース(Wallace Hume Carothers)が1937年に合成し1938年に繊維素材として発売されたポリアミド合成繊維の商標。合成繊維中最強度で弾性、耐薬品性に優れていると言われる。

6複弦ヴィウエラのゲージ例(単位:㎜)
弦長540㎜ A2 D3 G3 B3 E4 A4
Nylon 巻弦 巻弦 0.7 0.7 0.525 0.45
Carbon 1.0 0.8 0.9 0.57 0.4. 0.37
 ナイロン弦はA.セゴヴィアが発明した、最初に見つけたといった記事も存在するが、ナイロン線をギター弦に応用できないか注目したのはA.オーガスティンで、1946年頃。その後A.セゴヴィアに話を持ちかけて1947年以降共同開発が始まった。A.セゴヴィアはそれ以前から使用ギターを製作していたハウザー1世を通じ、羊腸弦を製作していたピラストロ(Pirastro)にギター向けの改良等を積極的に働きかけていたことや、戦争によって入手状況が芳しくなかったこと等が背景にあるようだ。使用に耐え得る本格的なナイロン弦は1954年頃完成し、ブラインド・テストでも獣腸弦より良い評価を得たとのことだが、プレーン弦に関しては供給元のデュポン社が最初に製造を開始してから2006年現在まで機械も製法も変えていないということなので、「改良」とは巻弦のこと、もしくは適した太さの調査といった可能性があるが、具体的内容については不明。 デュポン社は特に楽器用の弦として造っているわけではないので製法上均一な太さを維持出来ず、音程の正確性については当たり外れがある。この点に楽器弦としての加工を施したのがフランスのサヴァレス(Savarez)社で、研磨によって均一性を確保した。またダダリオ社では機械検知によって均一な部分のみを抽出して商品としている。弦メーカーの作業は基本的に仕入れたナイロン線から楽器に使えそうな均質な部分の抽出及び包装、商品によっては若干の加工を行なうこと。 巻弦に関してはナイロン線の束に鍍金を施した金属線を巻いているが、手作業からコンピュータ制御に変わるにつれて精度が上昇したという。

モダン6単弦スペイン・ギターの張力(単位:㎏)とゲージ(単位:㎜)
弦長650㎜ E2 (巻弦) A2 (巻弦) D3 (巻弦) G3 B3 E4
Nylon 0.95~1.17 0.74~0.96 0.60~0.80 0.53~1.16 0.66~0.85 0.56~0.77
張力 5.2~8.0 5.3~9.0 5.1~9.0 5.4~6.3 5.3~6.6 6.8~9.5
Carbon 1.08~1.13 0.86~0.95 0.74~0.76 0.80~0.85 0.65~0.75 0.58~0.65
張力 6.75~7.0 6.8~7.7 7.2~7.95 6.1~6.6 6.4~7.0 8.2~9.5
 日本では名古屋(Nagoya)の荒井史郎(Shirō Arai)が1954年に趣味で演奏するために個人輸入したのが最初とされている。きっかけは米誌『ギター・リヴュー(GUITAR REVIEW)』で紹介されていたことから。その後知人に分けられる等して広まり、1956年8月に荒井貿易株式会社が設立されて以降日本でも商品として流通するようになった。荒井貿易はエレクトリック・ギターでもアリア(Aria)ブランドで知られている。

 ナイロン弦以外の新素材を使った楽器用の弦としては、高強度で耐薬品性、熱耐性に優れる熱可塑性弗素重合体のポリ弗化ビニリデン(PolyVinylidine DiFluoride, PVDF)を使ったフロロカーボン弦も広く利用されている。工業製品原料としては高価だが、こちらもまた釣糸として使われる素材故楽器弦としては安価で大量に手に入ることやナイロン弦より密度が高く獣腸弦に近いことから代用獣腸弦の材料としても重宝され、特に株式会社クレハ(Kureha Corporation, 旧呉羽化学工業株式会社)製釣糸のシーガー(Seaguar)が知られている。E4弦は12号(0.57㎜)又は14号(0.62㎜)、B3弦は14号又は16号(0.66㎜)、G3弦は20号(0.74㎜)が適しているとの情報があり確認中。使用しているとささくれる点が欠点だが、これは羊腸弦でも同様に起こることで、小型の鋏等で除去して使われていた。 また表面に紙鑢で傷を付けた後黄色いセラック・ニス(ゴマラカ)を擦り込み、張力をかけながら左右に捩じると外見や音色が獣腸弦に近くなるとの事。熟練者ともなればかなり品質の高い自家製代用獣腸弦が製造出来るとの事で、一般に流通している既製品に対して密造ガットという渾名もあるようだ。ただしここで言う「密造」は単なる渾名であって違法性は無い。そもそも弗化ビニリデン繊維自体クレハ社が開発した物で、サヴァレス社製のアリアンス(Alliance)ブランドのKF高音弦としても使われ、日本でのサヴァレス弦の輸入総代理店を担っている。

 商品化された斜傾抱撮用7コースソリッドボディギターについてはA.グレゴリーが発案しフェンダー社が製作した7単弦ストラトキャスターが最古の物で、アメリカで下駒や糸巻に係る2つの特許も1990年12月に出願、1992年12月に取得されている(※当時アメリカは先発明主義First to Invent。2007年秋に先願主義First to Fileへの改正が議会で可決されている)。これはN.パガニーニの『24の綺想曲(24 Capricci Op. 1)』を演奏する目的で1985年に構想され、A4弦に24f仕様で可能となる最高音A6も同曲第5番イ短調(Capriccio n.5: Agitato La minore)の冒頭を念頭に設定されたが、発表当初7単弦ギターは酷評されたという。

 元々A.グレゴリーはソリッド・ギター以前にもホロウ構造の金属弦アコースティックギターで24f7単弦仕様を考案しギブソン社から発表しており、その時は7単弦フライパン同様イ長調調弦を設定していたが、弦列の配置は若干異なっている。エレクトリック・ギターの7単弦仕様においても1987年にギブソン社が興味を示したが、本人がエレクトリック・ギターに関してはストラトキャスターを好んでいたことから同年9月にフェンダー社と契約、ジョージ・ブランダ(George Blanda)によって設計されコロナ(Corona)にこの年設立されたフェンダー・カスタム・ショップで2本の試作品が完成する。これがフェンダー社のシグナチュア・シリーズ(SIGNATURE SERIES)としてはエリック・クラプトン(エリック・パトリック・クラプトンEric Patrick Clapton)、Y.J.マルムスティーンに続く3番目の事例とのことだが、正確にはE.クラプトン以前にハンク・マーヴィン向けに作った物がカスタム・ショップで最初との情報もあり詳細確認中。E.クラプトン・モデルは一般販売品では22fだが試作品では21f仕様で、1986年頃からE.クラプトンの演奏会で姿を見せていたという。またY.J.マルムスティーン・モデルは1987年1月15日に契約、アメリカン・スタンダード(American Standard Stratocaster)とヴィンテイジ・リイシューを基にしたマイケル・スティーヴンス製作による試作1号機が同年NAMMで発表されたが、本格的な生産は1988年夏以降。フェンダー製ギターでは初の凹槽指板仕様。それ以前の市販品で存在していたかは調査中。その後1998年と2008年に改訂が加えられている。なおカスタムショップ設立以前の特定奏者向けとしてはジェリー・バンド用に造られた8単弦スティール・ギターがCBS買収前唯一のカスタム機とのこと。

Fender 7-string Stratocaster
試作1号機 試作2号機 試作3号完成機
追加弦 High-A (A4)
製造年 1987年 1988年
柱数 24f (Dunlop 6100)
弦長 25in.(635㎜) 25.5in.(647.7㎜)
弦蔵 Reversed Headstock Non-reversed Headstock
糸巻 Standard Non-staggered Headmachines Staggered Headmachines
棹材 1 piece Maple
棹加工 Sstandard Tapering Stratocaster neck Pronounced Tapering neck
指板材 Ebony Brasilian Rosewood Maple
凹槽指板
接続法 Bolt-on with no shim Bolt-on with Shim
胴材 1 piece Kilted Maple 1 piece Swamp Ash
PU Duncan・8単弦Lap Steel Guitar用Single×3 Fender Lace Sensor ×3 Duncan Alnico V Stack ×3
護板 Tortoiseshell (予備: White)
下駒 Frond mounted Modified Vintage Tremolo Top mounted Modified Vintage Tremolo
鍍金 Gold plated Chrome plated Gold plated
塗装 Bourgogne See-Through Peach Pearl White
現所有者 当時Rolandでデモンストレイターを
していた日本人コレクターの手に
渡ったとされるが詳細不明
Toshi Iseda Alex Gregory
量産型 Alex Gregory
Ultra 7-String Stratocaster
Alex Gregory
Elite 7-String Stratocaster
量産されず。
PU Fender Lace Sensor ×3
塗装 Lilac Mist, Moonlight Mist, Violin Burst Frost Peach, Frost White, Montego Black
胴材 Maple Alder

Fender Stratocaster
Prototype #1
Fender Stratocaster
Prototype #2
Fender Stratocaster
Perfect Prototype #3
Fender Custom Shop
Showmaster VII
Squier Showmaster
Squier Stagemaster
Squier Strat VII
Squier FAT Strat VII
 2本の試作品は1988年1月にNAMMで発表され4月以降量産化、日本にも数本入ってきたと言われている。しかし一般的なストラトキャスターの仕様ではなかったことからアレックス・グレゴリー・モデルとされ、その後試作された3号機において初めて一般的なストラトキャスターの外観を持った仕様が誕生する。1990年9月にはこの3号機で初めての録音が教則ヴィデオ向けに行われるが財政上の問題から発表されることはなく、1991年に録音され翌1992年に発表(※日本では1997年発表)された『パガニーニズ・ラスト・スタンド(PAGANINI'S LAST STAND)』が7単弦ストラトキャスターによる初の作品となった。米国では発売3ヶ月で5万枚、日本では当初未発表だったにも関わらず海賊盤で10万枚を売り上げたが、この作品はラップ系アーティストの多いレーベルから発表されたものだったことからレコード会社の方針で表紙にそれぞれ人気ギター奏者の「Yngwie Malmsteen」や「Steve Vai」ととれる「YM 1983-1987」及び「SV 1987-1990」と刻まれた墓標と、A.グレゴリーが「SV」の墓標に向かって放尿している様子が描かれた。これが一部のギター・ディーラーから顰蹙を買い、抗議を受けたフェンダー社は契約を更新せず3号機仕様での量産は実現しなかった。現在エレクトリック・ギター史上においてA.グレゴリーモデルの7単弦ストラトキャスターが事実上黙殺されているのはこの一件と後述する訴訟が原因と思われる。なおY. J. マルムスティーンは表紙の件について知っているが、A. グレゴリとは共演経験もあるなど知り合いで、冗談であることを理解しているとのこと。

 その後A.グレゴリーは7コース・ギターには執着せずエレクトリック・マンドリンや5度調弦の5単弦バリトン・ギター等の開発に移行しているが、フェンダー社は2000年頃からカスタムショップ製のショウマスター7(Showmaster VII)、2001年頃からスクワイア(Squier)ブランドでのショウマスター及びフロイド・ローズ製下駒搭載のステージマスター(Stagemaster)、22fH-H仕様のストラトキャスター7(Stratocaster VII)及び22fS-S-H仕様のFATストラトキャスター7(FAT Stratcaster VII)として発表している。 M. A. グレゴリー自身はその後2001年に『ヘヴィ・メタル・マンドリンの為の12の冗談(12 JOKES FOR HEAVY METAL MANDOLIN)』を発表しており、2009年には1曲追加した『ヘヴィ・メタル・マンドリンの為の13の冗談(13 JOKES FOR HEAVY METAL MANDOLIN)』が日本向けに発売予定となっているが、7単弦ギターを使用したかについては確認中。当該作品は1994(又は1995)年に制作を始めた『ヘヴィ・メタル・マンドリンの為の24の冗談(24 JOKES FOR HEAVY METAL MANDOLIN)』のうち2001年までに完成した12曲を発表したもの。主奏楽器は29f4単弦エレクトリック・マンドリンで、題名はN. パガニーニの『24の綺想曲』を元にしていると推測される。 制作が遅れた理由としては1997年以降ヤン・アッカーマン(Jan Akkerman)が始めた フォーカス2000(FOCUS 2000)のプロジェクトでディクスィ・ドレッグズ(DIXIE DREGS)のリズム・セクションを担当していたからという。M. A. グレゴリーは渡米以前、イギリスのBBCでセッション・ミュージシャンとして活動していた時期があったことからの縁かと思われるが詳細不明。この他2002年に 『ザ・ホーリー・グレイル・オブ・セヴン・ストリングス(THE HOLY GRAIL OF 7 STRINGS)』を発表しているとのことだが、こちらも7単弦ギター使用の有無については確認中。

 低音弦にB1を追加した仕様ではU.J.ロートにやや遅れてS. ヴァイが星野楽器に開発を依頼し1989年秋までにJEMをベースにした24f7単弦ギター、ユニヴァース(Universe)の試作機が数本製作されている。PUの製作はディマジオのスティーヴ・バルチャー(Steve Bulcher)。S.ヴァイはこの頃ホワイトスネイク(WHITE SNAKE)のレコーディングに参加しており、U.J.ロートの作品発表が遅れた関係から1989年11月7日に発表された『スリッポブ・ザ・タングSLIP OF THE TONGUE』が低音弦を追加したソリッドボディ・7コース・エレクトリック・ギター初の録音作品となった。 当作品ではほぼ総てにUV7を使用したとのこと。

 また、これに伴う取材で11月以降雑誌等メディアに7単弦ギターが姿を見せ、翌1990年1月に正式発表、2月にはS.ヴァイ個人名義による『パッショネン・ウォーフェアPASSION AND WARFARE』に使われたことで知名度を増すこととなる。器楽アルバム史上最も売れた作品の1つで米ビルボート・チャートの40位以内Billboard Top 40に器楽アルバム作品として初入選したとの記事もあるが、実際にはそれ以前にも器楽アルバムで10位以内に入ったものは複数存在しているようだ。1990年のグラミー賞(Grammy Award)ロック器楽部門(the category of Best Rock Instrumental)候補にも選出されているが、この時同賞を獲得したのはJ.ベック、テリー・ボッジオ(テリー・ジョン・ボッジオTerry John Bozzio)、トニー・ハイマス(Tony Hymas)による『ジェフ・ベックズ・ギター・ショップJEFF BECK'S GUITAR SHOP』。

 作品の表紙にはユニヴァースの試作1号機が描かれているが、本来あるはずのモンキーグリップ(Monkey Glip)と呼ばれる手握孔が見られない。モンキー・グリップはユニヴァースの元になった6単弦ギターJEMで一般的に見られる仕様だが、7単弦ギター試作時には低音の音響を考慮して試作2号機以降廃止となった。その経緯から後の量産を踏まえて表紙デザインの際に写真が加工されたものと思われる。この他フレット数や基本仕様は多くをJEMやその母体となった1987年発表のRG550に始まる6単弦の新型RGシリーズから踏襲している。胴材へのアメリカ産バスウッド(American Basswood)採用は、1979年発表のロードスター(Roadstar)及び1981年発表のブレイザー(Blazer)から発展した、1982年発表のロードスター2(Roadstar II)が原点。理由は全周波数帯で不偏的音響特性を示すからとのこと。一般に柔軟で強度の低い木材だが、加工性、乾燥性、乾燥後の安定性が高く家具や彫刻、内装、板簾(Venetian Blind)に利用される。日本産の物は(Shina-no-Ki)と呼ばれ、彫刻やベニヤ合板、鉛筆、マッチ棒の軸木として利用されているとのこと。

 このロードスター2の後継機として生まれた1984年発表のAH-10RS520において星野楽器製アイバニーズ・ギターとして初めての24f仕様が登場する。提案したのはAH-10をシグナチュア・モデルとしたA. ホールズワース。翌1985年発表のRS-528RS-529 WHでは更にストラトキャスターの仕様に近づけられるが、ここでも24f仕様は受け継がれ1986年のRG1200等初期RGシリーズ、そして1987年のRG550等新型RGシリーズへと繋がる。現在は単にRGだが、「Roadstar II RG」の名称は1980年代末まで残っていたようだ。

 なおユニヴァースは1990年10月に商品化が実現し、1991年には後継機種のUV777BKも登場したが1993年に廃版、唯一残っていたUV7も1994年を以って生産を終えている。その後1996年にUV7 BKが復活、更に1998年にはUV7PがUV777と統合されUV777Pとして復活、現在はUV777PのみがS.ヴァイのシグナチュア・モデルとして残っている。また、1998年にはユニヴァースの廉価版としてRG7-620が誕生、続けてその固定下駒仕様RG7-621も登場する。以降、更に価格を抑えた入門モデルのRG7-420RG7-421やピエゾPU搭載のRG2027Xなど様々なヴァリエーションが生まれ現在ソリッド7単弦市場で最も多くの品種を供給している。この他1999年4月頃からAXシリーズやSシリーズ(元々はセイバーSaberと言われていた)、セミホロウボディ型のAFシリーズ、ホロウボディ型のAJシリーズ等の7単弦仕様も発表された。

 ところでS.ヴァイが7単弦ギターの製作を考えた動機については、漠然と新しいことをしようと考えていたことや「7」という数字に魅力を感じていたことによるというが、当初グレゴリーと同様高音弦を増やすというアイデアを持っていたものの開発に難航し、1年間悩んだ末低音側の増設に変更した経緯もある。A.グレゴリーによれば事前にツアーのリハーサルでS.ヴァイと接触する機会があり、7単弦ギターに興味を持っているがアイバニーズとの契約がある為使えないと話していたので、特許があることを伝えたがその後アイバニーズ社から一度電話があったまま音沙汰無く、無断で発表されたという。このことから7単弦ストラトキャスターに影響を受けていた可能性があるが、S.ヴァイ側から同様のコメントは出ておらず真相は不明。A.グレゴリーはまたS.ヴァイが高音弦追加に失敗した原因として、弦蔵形状を真似なかったことと推測している。ユニヴァースが採用しているものは1981年発表のデストロイヤー2(Destroyer II)から登場しロードスター2のプロ・ライン・シリーズ(Pro Line)を経て新型RGに採用された鵞鳥嘴(Goose Beak)と呼ばれる独特の形状を表装のみ変更した物で、傾斜が14度前後とA.グレゴリーの理論からすればA4弦を張るには急斜となる。なお、S.ヴァイは開発当時U.J.ロートの7単弦スカイ・ギターについては知らなかったとしているが、この当時U.J.ロートが公に活動していなかったことを考えるとスカイギターからの影響は全く無かったと考えるのが自然だろう。アイバニーズは同時期の1988~1990年頃30f6単弦ギターAFD40とその上位機種AFD45 BGを製作しており(「Other II参照」)、こちらはドルフィンの影響を感じ取れないこともないが、真相は不明。

 同様のケースではG.リンチも高音弦追加を図り失敗しているが、彼のギターを製作していたESPは7単弦ストラトキャスター発表後最も早くに興味を示し1989年頃グレゴリーとの接触を図っている。契約に至らなかった原因は不明。その後ESPは独自開発によってG.リンチ用7単弦ギターを製作、第1号機はリンチ・モブ名義で1990年10月30日に発表したアルバム『ウィキッド・センセイションWICKED SENSATION』のレコーディング中に届けられたとのことから、1989年夏~1990年夏頃と思われる。ただし当該作品では使用していない。G.リンチ本人はS.ヴァイの楽器については知らなかったと語っているが、ESPが7単弦ギターに興味を示した時期やメディアでのユニヴァース露出以前にG.リンチが開発意欲を示していることからすれば事実と思われる。結局G.リンチ発案の7単弦ギターはA4弦の設置が上手くいかず第3次試作を以って終了することとなるが、ESPでは1999年11月にB1弦を追加する形で商品化、量産品としては初と思われる27吋(685.8㎜)仕様の7単弦ギター、ウルトラ・トーン(Ultra Tone, UT-SL7)や廉価ブランドのグラスルーツ(Grass Roots)及びエドワーズ(Edwards)による7単弦ギターを発表、その後VP(Viper)シリーズやホライゾン(Horizon)シリーズの7単弦仕様も登場している。なおG.リンチはその後低音を拡張した楽曲を制作する際に6単弦バリトンギターを使用している。7単弦ギターを使用しない理由は桿棹が太く弦が多過ぎソロが巧く弾けないという印象を持ったからとのこと。

 その他2004年以前にもキルスウィッチ・エンゲイジ(KILLSWITCH ENGAGE)のジョエル・ストローゼル(Joel Stroetzel)とアダム・デュトキエビッチ(Adam Dutkiewicz)が高音を追加した7単弦ギターを録音で使用するも、手が小さく実演では使えないという理由から断念している。

ESP Custom                                Ibanez Universe
第1次試作機1号機 第2次試作機 最終試作機 試作1号機 試作2号機 試作3号機
High-A (A4) 追加弦 Low-B (B1)
1990年? 1991年 製造年 1989年
22f 24f 22f 柱数 24f (ダンロップ6100→細めのものへ)
25.5in.(647.7㎜) 24in.(609.6㎜) 弦長 25.5in.(647.7㎜)
不明 棹材 1 piece Maple
Rosewood ①: Maple
②~⑦: Rosewood
指板材 Rosewood
不明 胴材 American Basswood
手握孔
ESP Custom Hambucker ×1 PU DiMazio Blaze II ×3 (H-S-H)
護板 Clear White
Fixed Bridge 下駒 Modified Edge Tremolo
Chrome 鍍金 Cosmo Black
Black 塗装 Multi Color Black White
Geroge Lynch 現所有者 Steve Vai an Artist
 同型の改良機が更に2機製造された。
 電動式可動エスカッション搭載。Voに2層式ノブを採用し、内側ノブでPUの位置を操作。
 弦長はA4弦対策としてバンジョーを参考。
 エスカッション移動時の騒音対策としてモーターを小型化したが、移動速度が遅くなる結果に。
 ⑦のみHipShot 搭載
 混成指板は視覚的な混乱を防ぐため。
備考
1990年夏頃迄に
4本追加、
特殊装飾型2本追加。
1990年夏頃迄に
3本追加。
量産されず 量産型 UV77 MC UV7 BK UV7P WH
変更点 1990年販売開始
UV7P WHは弦蔵が黒から白へ。
下駒は初期生産のみEdge、間もなくLo-Pro Edgeへ移行。
2003年からはEdge Pro 7。
1991年 ? UV777 BK
1996年 ? UV7 BK(再)
1998年 5月 UV777P, RG7-620, RG7-621, AF207
ESP: UT-SL7
GRASS ROOTS: E-7-90JG, E-7-90HR
EDWAWRDS: G-7-53HR, G-7-56MR
11月 1999年 1月 AJ307CE
12月 RG7-420, RG7-421, S7-420
ESP: VP-SL7 2000年 3月 JCRG7-1VV
5月 AX7-521
6月 RG2027X
7月 RG7-CSD1 BKF
8月 RG720 BK
12月 RG7-420L
ESP: M-II SL7 3月 2001年 2月 RG7-CSD2 BK
5月 K7
10月 RG1077XL
2002年 6月 RG7CSD3
この頃までにESP: SEC-7FR, HORIZON-7FR, HZ-300SC7,
風林火山RED, 風林火山GOLD
2003年 1月 RG1527, RG15271
Edwards: E-CY-100D7 5月 2005年
11月 RG7321BK, AX7221GP
12月 RG7EXIP
2006年 1月 RG8127F
8月 RG7EXFX
9月 RG8427F, RG8327
12月 S7-320, APEX1
この頃からESP: M-Seven 2007年 4月 RG7EXFX2

 ESPはまた1997年に北米拠点をニュー・ヨークからロサンゼルスに移したのをきっかけにエル・ティ・ディ(LTD)ブランドを発足、ESP製の廉価版供給を開始しており、7単弦ギターではヴァイパー型のViper-407、S.カーペンター・シグナチュア・モデルの7単弦仕様等を発売している。ESPとの価格の違いは木材、部品の種類、ブランド価値といった資材面と工場量産化による経費節減によるが、LTD製でも高級機種はESP製と同仕様になっており、この場合は製造方法が工場量産か手工品かの違いのみとのこと。

Hamer Maestro
追加弦 High A (A4)
製造年 1990年
柱数 24f
弦長 不明
棹材 不明 Maple
指板材 Rosewood
胴材 不明
PU Duncan Custom
S & S-S-H
Duncan Custom
×3 (S-S-H)
下駒 Custom Tremolo
鍍金 Gold Chrome
塗装 Snakeskin See-through Brown
現所有者 a Collector

 一方ヘイマー(Hamer)は1989~1991年にA.グレゴリーと7単弦ギターの共同開発を行っており、10本弱生産された。A.グレゴリー向けに7本作られたという情報もあるが詳細不明。また同じく1990年代半ばにA.グレゴリーはB.C.リッチとも契約を結んでおり、コンパウンド・ヘッド(Compund Head)を採用した7単弦ギターを試作したようだが、詳細は不明。コンパウンド・ヘッドは1993年頃A.グレゴリーがギブソン社で8単弦ギター(「Sky VI」参照)を開発した際に生まれ、アメリカでこの技術に関する特許を1992年6月に出願、1996年5月に認められている。その他の共同開発品に関しては「B.C.RICH」参照。またS.ヴァイはアイバニーズの7単弦ギター発売後、A.グレゴリーとの特許訴訟に巻き込まれ、一時公における使用禁止という事態にも陥ったが1993年に100万ドルの和解金で示談が成立している。同年発表の『セックス・アンド・リリジョン(SEX & RELIGION)』のリズム・パートや1996年発表の『ファイア・ガーデン(FIRE GARDEN)』で使用するなど頻度は減ったもののS.ヴァイはその後も7単弦ギターを使用している。

 1994年になるとカリフォルニア州ベイカーズフィールド(Bakersfield)のロックバンド、コーン(KOЯN)がツイン・7単弦ギターという編成でアルバム『コーン(KOЯN)』を発表、大手TVメディア等の宣伝媒体を通さなかったものの演奏活動が好評で1995年末までにアメリカで70万枚を売り上げ、その後の世界的な人気拡大に伴ってソリッドボディ7単弦ギターは再び注目されるようになる。ギターを担当していたマンキー(ジェイムズ・シェファーJames "Munky" Shaffer)は元々S.ヴァイの影響を受けて7単弦ユニヴァースを使っており、それに影響を受けた同バンドメンバーのヘッド(ブライアン・ウェルチBrian "Head" Welch)も使用するようになった。彼等が設定した調弦は長2度下げで、2001年5月にシグナチュアモデルとして商品化されたK7も同様のセッティングがなされている。またファイン・チューナーに手を触れることなく掌でユニットを押すことでヴィブラート効果を得るためのユー・バー(U-Bar)と名付けられた特殊ワーミィ・バーも附属しており、現在この仕様を受け継いでいるのはAPEX1、A1調弦に関しては弦長27吋(685.8㎜)のRG7EX-FX2となる。 ただしハードコアを中心に重低音を目的とした7単弦ギターの利用拡大に応える形で各社が発表した量産モデルはB1調弦が一般的で、この時期に7単弦ギターを利用する奏者が増加した他1990年頃から使用し始めていた先駆者にも注目が集まるようになる。

 1999~2001年までに7単弦モデルとして発表されたのは既述のものに加えて以下の通り。

1999年 ? CARVIN DC727, DC727C, DC727L
4月 SCHECTER フルオーダー開始
11月 SCHECTER A-7
PROGAUGE PS-600AV, PS-600EX
2000年 1月頃 SCHECTER
ARKANSAS AR
3月 WASHBURN WG587V
5月 WASHBURN S7, S7V
? B.C.RICH WARLOCK 7-strings, MOCKINGBIRD 7-strings
8月 EPIPHONE LES PAUL CLASSIC-7, 1958 KORINA FLYING-V7
JACKSON STARS J.S.SL7-125, J.S.RR7-135, J.S.KE7-135
D'ANGELICO NYL-7
2001年 1月 FERNANDES ZO-7
3月 FERNANDES FR125S ELITE
7月 MUSIC MAN JOHN PETRUCCI 7ST
9月 MUSIC MAN JOHN PETRUCCI 7ST PRB, PBL, BK
10月 CREWS MANIAC SOUND ABSOLUTE-VII

John Petrucci 7 string
NormalBFR F-1
開発年20012007
響胴材BasswoodMaple Top, Alder Back
Mahogany Tone Block
響胴塗装High Gloss Polyester
Mystic Dream, Black
Pearl Redburst, Pearl Blue
Trans Wallnut, Trans Black
Trans Ruby, Pearl Blue
(※日本ではTrans Blackのみ)
桿棹材Selected MapleMahogany
接続法5-Bolt Sculpted Joint for Perfect Alignment with no Shifting
桿棹塗装Hand Rubbed Gunstock Oil & Wax BlendHigh Gloss Polyester
指板材Rosewood, 324 Scale, 380R
柱数24f
上駒長49㎜ ( 1.9375吋)
24f長66㎜ ( 2.59375吋)
フロントCustom Dimarzio Humbucking Specially Designed for Petrucci
リアCustom Dimarzio Humbucking
Specially Designed for Petrucci

Dimarzio D Sonic
Dimarzio D Sonic
下駒Custom John Petrucci MusicMan Tremolo Piezo Bridge
糸巻Schaller M6-IND Locking
制御系Volume (500k pot)
Tone (500k pot/.022μF Capacitor)
Volume (500k pot)
Push-pull Tone (500k pot/.022μF Capacitor)
切替機3 way Toggle Pickup Selector, with Custom Center Position Configuration
 このうち、ウォッシュバーン(WASHBURN)製S7及びS7Vは量産型7単弦ギターとして初めてのバズ・フェイトン尖錐調弦機構搭載機。また2000年10月7~8日に東京(Tōkyo)の科学技術館で開催された大楽器祭2000で発表され、2001年1月に発売が開始されたフェルナンデス製ZO-7はアンプ&スピーカー内蔵型7単弦ギターとしては初、また1月にNAMMで発表され3月に発売されたフェルナンデス製FR-125S ELITEはサスティナー搭載機として初と推測される。また2002年にはヤマハがAES 7stを発表している。

 その他ESPに次いでA.グレゴリーに接触を図ったとされるピーヴィ(PEAVY)も21f低音追加 7単弦プレデター(Predator Plus TR7)を発表、また東海楽器やドラゴンフライ(Dragonfly)も7単弦ギターを出した時期があるようだが詳細は調査中。

 シェクターは2005年にも007 EliteAD-C-7-BJ Blackjack 007AD-007-BJ BlackjackDamien AD-DM-7Hellraiser AD-C-7-HROmen-7といった複数のモデルを発表、2007年にもNV-III-VIIC-7 FRを出しており、26.5吋(673.1㎜)という弦長が特徴となっている。

 他キラーギターズ(Killer Guitars)製KGプライム・セブン(KG-Prime 7)及びKGアナーキー(KG-Anarchy)、ノクターナル・ライツ(NOCTURNAL RITES)のニルス・ノーベリ(Nils Norberg)の要請により生まれたキャパリソン(Caparison)製デリンジャー7(Dellinger 7)等が2007年頃までに発表されている。

 また2007年にはニル・エレクトリック・ギターズ(Nil Electric Guitars)が7単弦市場に参入、2009年以降は ナナゲン(Nanagen)シリーズとしてトレモロブリッジ、ボルト・オン、24f仕様のリップル・シリアス(Ripple Serious)及び固定ブリッジ、セット・ネック、22f仕様のリップル・グラマラス(Ripple Glamorous)の2機種を発表しており、今後7単弦ギターを主軸に商品展開を進めるとの方向性を打ち出しているようだ。

 「七弦」は本来「シチゲン(shichi-gen)」と読むが、ロック・ギターに限っては「ななゲン(nana-gen)」と湯桶読みする人も多いようだ。「四弦」に関しても同様で「シゲン(shi-gen)」を「よゲン(Yo-gen)」又は「よんゲン(Yon-gen)」と読むことが多い。理由としては漢字知識の問題や方言の伝播等が考えられるが詳細不明。「一~三弦」及び「五~六弦」、「八~十弦」に関しては音読みしているようだ。

 熟語に音読みと訓読みを混在させる重箱読みや湯桶読みは用例として少なくないものの全体からすると例外・禁則的な傾向があり、また七絃琴は「シチゲンキン(shichigen-kin)」と読む等他の7弦楽器が通常「シチゲン」と呼ばれる点も合わせると漢字知識の欠落が発端となっている可能性がある。なお和語では既述の通り雅語が存在し、それぞれ弦の本数に基づいて七絃琴を「ななつを(七つ緒)」、琵琶を「よつのを(四つの緒)」と言うことがある。この他「弦(絃)」は音楽・楽器関連の文脈で「いと(ito)」や「こと(koto)」と訓読みさせることがある。

 方言に関しては詳細未確認だが、一般に関東の標準語圏で「7月」や「7時」を「シチ」で読み、「シチ」を常用する地域では「なな」という読みに対して幼児語的なニュアンスを感じとる人もいる一方、関西では「なな」で読む傾向があるとみられ、全国的にも地域によって差異があると予想されることから、「ななゲン」が特定地域での発想を反映している可能性が考えられる。この他業務上時間情報が重要になる職種では「1(イチ ichi)」との混同を避ける為意図的に「なな」を使う場合もある。

 2009年では株式会社クルーズのブランド、クルーズ・マニアック・サウンド(Crews Maniac Sound)からアブズ・セヴン(Ab's 7)の新型及びソリューション・セヴン(Solution 7)が発売されている。前者はバーズアイメイプル桿棹ローズウッド指板、表メイプル裏コリーナ響胴、シャーラー製M6L-Mini Acril糸巻、フロイド・ローズ製下駒、ディマジオ製ブレイズ・カスタム、ブレイズ、トーンゾーン7のS-S-H配列。後者はメイプル桿棹ローズウッド指板2層アルダー響胴、ゴトー製SG-360糸巻、ヒップショット製41150C HARDTAIL、ディマジオ製Dソニック7、ブレイズのH-H配列。

 全体的に7単弦ギター奏者は多数派ではないものの6単弦ギターをメインとしながら状況に応じて7単弦ギターを選択するというスタイルが広がりつつある。傾向としてはコーン以降2000年に7単弦モデル登場のピークを迎え、2001年になると7単弦ギターに代わる6単弦のバリトンギターやエクストラ・ロングスケールなど低音対策を強化した楽器が多く発表される流れが強くなる。また1990年代後半に流行として7単弦ギターを持つことが半ばファッション化する現象もハードコア音楽等の一部にあったため、その反動も出ているとみられ2002年以降はやや沈静化。2005年頃から再び供給モデルが増えるも、2008年になると沈静化するなど、市場はまだ不安定なようだ。

 利用の範囲という点で楽種ごとの状況を見ると、クラシカル・ギターでは1980年代頃から始まった19世紀ギターによる古楽演奏の発展として1990年代頃からミルクール産やラコート製の複製モデルなどを使った演奏が行われるようになり、M.尾尻等が使用、2000年以降も古楽演奏の1つの手法としてY.大萩等が6単弦仕様と併用しながら実演を試みるなど存続しているようだ。ジャズ・ギターではソリッドボディの7単弦仕様や部品の入手が容易になったことで従来の7単弦奏者がフルアコースティックやセミアコースティックに加えて選択肢の1つとして所有する例が見られるようになった。ポピュラー・ギターでは7単弦仕様が積極的に使用される流行は特に確認できない。ブラジル音楽のセチ・コルダスに関しては完全に定着しており、特にジャンルや用法を区別せず奏者の必要に応じて利用されている。

 ロック・ギターでは7単弦ギターが広がり始めた1990年代に手にし始めた若手奏者が育ち始めているようで、流通機種の減少とは逆に実演で確認される機会が増えている。楽種を問わず6単弦以外の仕様に関してノウハウや教則、レパートリーが少ないこと、録音媒体の場合は音だけで6単弦の変則調弦なのか7単弦やバリトンギターなのかが判別し辛いこともあって知名度も上がりにくく、スタジオや演奏会の現場、プロと一般の趣味の間に扱いに対する温度差も生じているようだ。

 同様の傾向はPU開発にも現れており、S.ダンカンによれば1990年代はモダン・ヘヴィネスの低音需要を受けた7単弦用PUが、2001年頃になるとヘヴィ系6単弦用PUの需要が多いという。L.ディマジオが2003年に発表したディ・ソニック(DP207; D-Sonic)もドロップDでの音質改善を目的に開発されている。

 2001年12月までに6単弦用から7単弦ギター用へと拡張されたS.ダンカン製PUは59(SH-1-7 '59)、ジャズ(SH-2-7 Jazz model)、JB(SH-4-7 JB)、カスタム(SH-5-7 Duncan Custom)、ディストーション(SH-6-7 Duncan Distortion)、インヴェイダー(SH-8-7 Invader)で、いずれもギター奏者からの要請に基づくとのこと。6単弦重低音用としては59の出力強化版であるカスタムを再強化したカスタム・カスタム(SH-11 Custom Custom)、ダイムバッカー(SH-13 Dimebucker)、カスタム5(SH-14 Custom 5)等。 なおS.ダンカンは新PU製作に際しては自分の好みではなく要請者の好みを反映させる形で製作するとのこと。最初に他人向けに作ったPUはJB(SH-4 JB)で、1975年にJ.ベックのアルバム『ブロウ・バイ・ブロウ(BLOW BY BLOW)』録音用として開発した。

 ロック音楽での一般的な傾向としては、6単弦ギターのダウンチューニングで対処する場合が多数で、低音の音質低下を気にする者は太めの弦に交換する、バリトンギターにするといった選択肢を採用している。7単弦ギターの使用に関しては、6単弦ギター奏者が特定の曲に対して臨時で7単弦ギターを利用する場合やスタジオでの録音の際にプライムギターとは違った音色を重ねる場合、入手の容易さの問題からバリトンギターの代わりに低音がしっかりと出せる楽器として7単弦ギターを使用する場合、低音拡張目的で7単弦ギターを常用する場合がある。実演ではスタジオで使用した7単弦ギターの代わりに弾きやすさを優先して6単弦バリトンギターやプライムギターのダウンチューニングを好む場合と、逆に様々なダウン・チューニングの曲を7単弦1本に纏めて持ち替えや輸送の負担を無くす目的で使用する、低音リフと高音のソロや速弾き双方に対応するためにバリトンギターとプライムギターを合わせた楽器として使用する場合等に分かれている。

 J.ペトルッチはバンドのベース奏者J.マイアングが使い始めた6単弦ベースとのユニゾンに対応するため1994年頃から星野楽器アイバニーズ製ユニヴァースの改修機、その後ピカソ・ギター(Picasso guitar)と呼ばれる専用機を使用し始め、1994年に『アウェイク(AWAKE)』、1997年に『フォール・イントゥ・インフィニティ(FALL INTO INFINITY)』を発表している。なおここでのピカソ・ギターはL.マンザー製24コース42弦ハープ・ギターとは別物なので混同に注意。

 2000年にミュージックマン(ERNIE BALL / MUSIC MAN)に契約先を変えているが、変更の理由は地理的な連絡性とシグナチュア・モデル発売承諾とのこと。2001年から7単弦のシグナチュアモデルを利用しているが、2002年には「ブラインド・フェイス(Blind Faith)」の演奏でミュージックマン製シルエット・バリトンをA1調弦で使用、2005年6月発表の『オクタヴァリウム(OCTAVARIUM)』では7単弦ギターを一切使用せず、第3曲「ジーズ・ウォールズ(These Walls)」及び第5曲「パニック・アタック(Panic Attack)」ではバリトンギターを使用している。その後は6単弦仕様がメインで、演奏会で必要な曲のみ7単弦仕様やバリトンギターを利用するというスタイルに落ち着いている。 なお2007年に高級材を使用した限定版BFR(Ball Family Reserve)シリーズからBFR John Petrucci F-1 7STが発表された。証明書添付でシリアルナンバーは7単弦仕様の場合Fで始まる。また通常版は2007年12月にリアがディマジオ製カスタムからディ・ソニック(D Sonic)に変更された。2009年には同シリーズからバリトン・ギターのJOHN PETRUCCI BFR 6 BARITONEも発売されて『ブラック・クラウズ・アンド・シルヴァー・ライニングス(BLACK CLOUDS & SILVER LININGS)』で使用されているが詳細は「SKY II」参照。当アルバムではバリトン・ギターやプライム・ギターのダウン・チューニングの他に7単弦ギターも使用しているとのことだが具体的な使用箇所は不明。

その他の7単弦ギター使用者・使用経験者
人名所属歴&使用曲例使用歴
クリストファー・アモット(Christopher Amott)アーク・エネミー(ARCH ENEMY)
 『ドゥームズデイ・マシーン(DOOMSDAY MACHINE)』#09「マシーン・ガット・クリエイション(Machine Got Creation)」
ESP製
マイケル・アモット(Michael Amott)アーク・エネミー(ARCH ENEMY)
 『アンセムズ・オブ・レベリオン(ANTHEMS OF REBELLION)』「インスティンクト(Instinct)」(録音でのみ)
ロブ・バルドゥーチ(Rob Balducci)『マントゥラ(MANTRA)』アイバニーズ製RG7, S7
コリィ・ビューリュー(Corey Beauliea)トリヴィアム(TRIVIUM)
 『ザ・クルーセイド(THE CRUSADE)』#6「And Sadness Will Sear」, #7「Becoming the Dragon」, #9「This World Can't Tear Us Apart」, #11「Contempt Breeds Contamination」, #13「The Crusade」など
ディーン(DEAN)製 Custom 7 string Prototyepe for Corey
マシュー・ベラミー(Matthew Bellamy)ミューズ・フィーチャリング・マシュー・ベラミー(MUSE feat. Matthew Bellamy)
 『オリジン・オブ・スィンメトリー(ORIGIN OF SYMMETRY)』「スィティズン・イレイズド(Citizen Erased)演奏会で使用。録音は6単弦でベース弦使用。
マンソン(MANSON)製 Custom made 7string guitar
マルコ・ビアッツィ(Marco "Maus" Biazzi)ラクーナ・コイル(LACUNA COIL)
 『シャロウ・ライフ(SHALLOW LIFE)』
ESP製Stephan Carpenter model 7string
ウェス・ボーランド(Wes Borland)リンプ・ビズキット(LIMP BIZKIT)
 『スリー・ダラー・ビル、ユオールズ(THREE DOLLAR BILL, Y'ALLS)』
クリス・ブローデリック(Chris Broderick) ジャグ・パンザー(JAG PANZER)
ネヴァモア(NEVERMORE)サポートギタリスト
 DVD『ザ・イヤー・オブ・ザ・ヴォイジャー(THE YEAR OF THE VOYAGER)』(2008)
メガデス(MEGADETH)
 ※メインは7単弦ギターだがメガデスではこれまでの音楽性を考慮して6単弦ギター使用の方針を明らかにしている。
Ibanez製
ブレイク・バンゼル(Blake Bunzel)イン・ディス・モーメント(IN THIS MOMENT)
ステファン・カーペンター(Stephen Carpenter)デフトーンズ(DEFTONES)
 『ホワイト・ポニー(WHITE PONY)』#04「Rx Queen」
ESP製STEF B-7, SC-607B, SC-207
ディーノ・カザレス(Dino Cazares)フィア・ファクトリー(FEAR FACTORY)
 『ディマニュファクチャー(DEMANUFACTURE)』
Ibanez製RG7、7string Baritone Guitar Custom G1tuning
ニール・シトロン(Neil Citron) シトロン(CITRON)
 『アブソリュート(ABSOLUTE)』S.ヴァイ所有のアイバニーズ製UV7MCを借りて
ラナレーン(LANA LANE)
 『プロジェクト・シャングリラ(PROJECT SHANGRI-LA)』
アイバニーズ製UV7
ラスティ・クーリー(Rusty Cooley) アウトワールド(OUTWORLD)
 『アウトワールド(OUTWORLD)』(2006)
ソロ
 『ラスティ・クーリー(RUSTY COOLEY)』(2003)
デレク・シェリニアン(Derek Sherinian)
 『マレキュラ・ヘイナシティ(MOLECULAR HEINOSITY)』
オムニバス
 『WARMTH IN THE WILDERNESS VOL. II - A TRIBUTE TO JASON BECKER』
DVD
 『FRETBAORD AUTOPSY 1 & 2』
ディーン・ギター(DEAN GUITARS)製
ドク・コイル(Doc Coyle)ゴッド・フォービッド(GOD FORBID)所有のみ
ブラッド・デルソン(Brad Delson)リンキンパーク(LINKIN PARK)
 『ハイブリッド・セオリー(HYBRID THEORY)』#3「With you」, #6「Runaway」
アイバニーズ製(RG-7)
セドリック・デュポン(Cedric "Cede" Dupont)シンポース(SYMPORCE)
エディ・ザ・キッド(Eddie The Kydd)『オルファン(ORPHAN)』アイバニーズ製RG7-620 ※下駒は固定型に交換
トーベン・エンヴォルドセン(Torben Enevoldsen)セクション・エイ(SECTION A)
 『ザ・セヴンス・サイン(THE SEVENTH SIGN)』
アイバニーズ製(RG-7)
ティム・フラッキー(Tim Fluckey)アディーマ(ADEMA) シェクター製
ステファン・フォルテ(Stéphan Forté)アダージョ(ADAGIO)
 『サンクトゥス・イグニス(SANCTUS IGNIS)』#02と#04以外。
LAG製7string、LAG製27fシグナチュア・モデル、LAG製27f7単弦アコースティック
ティム・フラッキー(Tim Fluckey)アディーマ(ADEMA)シェクター製
マック・ガウナー(Mac Gaunaa)ナリタ(NARITA)
 『ライフ(LIFE)』
ゲーリング(Gerling)製29f7単弦カスタムギター
シェイン・ギブソン(Shane Gibson)スパーク・セヴン(SPARK 7)
コーン(KOЯN)のサポート・ギター奏者
nil Electric Guitars Emotion Capture Essence 7 string Shane Custom "Pink Nightmare"
nil Electric Guitars Shane Custom "Knuckle Child"
ポール・ギルバート(Paul Gilbert)『アリゲイター・ファーム(ALLIGATOR FARM)』#09「Let the Computer DecideIbanez RG7 Custom
マルテン・ハグストロム(Mårten Hagström)メシュガー(MESHUGGAH)
 『ナッシング(NOTHING)』(2002年版)
はたけ(Hatake)ESP製風林火山
エディ・ヘッドハジズ・キッチン(HAJI'S KITCHEN)
 『ハジズ・キッチン(HAJI'S KITCHEN)』
マット・キイチ・ヒフィ(Matthew Kiichi Heafy)トリヴィアム(TRIVIUM)
 使用曲例はC.ビューリューの項目参照。
ディーン(DEAN)製Razorbrack 7 string Custom
ディーン(DEAN)製 Matthew Kiichi Heafy model Prototype 7 string Custom
エピフォン製 '58 Korina Flying V-7 (エクスプローラー完成までの一時使用) ギブソン製エクスプローラー24f7弦仕様
ヒロ(Hiro)ヘッド・フォンズ・プレジデント(HEAD PHONES PRESIDENT)
ジェイムズ・フック(Jason Hook)Ibanez製
クリス・ハワース(Chris Howorth)イン・ディス・モーメント(IN THIS MOMENT)
 「ビューティフル・トラジェダイ(BEAUTIFUL TRAGEDY)」(2007)
 「ザ・ドリーム(THE DREAM)」(2008)
スコット・ハル(Scott Hull)ピッグ・デストロイヤー(PIG DESTROYER)
イサオ(Isao)スパーク・セヴン(SPARK 7)
ザ・フェイディッド(THE FADED)
 『スクリーム(SCREAM)』(2008)
nil Electric Guitars Emotion Capture 7 string Isao Custom "Bubble Gum"
nil Electric Guitars NANAGEN Series ISAO Custom "Red Comet"
トシ・イセダ(Toshi Iseda)『フル・オン(FULL ON!)』Ibanez製Universe
トニー・アイオミ(Tony Iommi)ブラック・サバス(BLACK SABBATH)
ダニエル・ジェイ(Daniel J, ダニエル・ヤクボヴィチDaniel Jakubovic)ジョーダン・ルーデスのソロアルバム『(RHYTHM OF TIME)』
 全てのバッキングでペトルーシモデル、「Insectsamongus」のソロでアイバニーズ
ミュージックマン製ジョン・ペトルーシ7st
アイバニーズ製
ロブ・ジョンソン(Rob Johnson)『ギターキテクチャー(GUITARCHITECTURE)』
 「トランセンデンタル(Transcendental)」「グルーヴズ・イン・オービット(Grooves in Orbit)」
グレコ製カスタムギター
カジ(KAZI)山嵐
 『未体験ゾーン
Ibanez製KAZI model
ケリー・キング(Kerry King)スレイヤー(SLAYER)
 『ゴッド・ヘイツ・アス・オール(GOD HATES US ALL)』
小林信一(Shin'ichi Kobayashi)スレイヤー(SLAYER)
 2001年8月『ゴッド・ヘイツ・アス・オール(GOD HATES US ALL)』
クリキントン・フォックス(Kurikinton Fox)アイバニーズ製RG
ピーター・レイマン(Peter Layman)アンアース(UNEARTH)のギタテク。2005年来日の際代役
クリーニング・オータム・スカイズ(CLEANING AUTUMN SKIES)
Ibanez製S7
シュテファン・リンドホルム(Stefan Lindholm)ヴィンディクティヴ(VINDICTIV)
 『ヴィンディクティヴ(VINDICTIV)』
Ibanez製UV77MC他、Universeを9本所有
ジェフ・ルーミズ(Jeff Loomis)ネヴァモア(NEVERMORE)
 『デッド・ハート、イナ・デッド・ワールド(DEAD HEART, IN A DEAD WORLD)』
 『エナミーズ・オブ・リアリティ(ENEMIES OF REALITY)』
 『ディス・ゴッドレス・エンデヴァー(THIS GODLESS ENDAVOR)』
ソロ『ズィロウ・オーダー・フェイズ(ZERO ORDER PHASE)』
Shecter製C7 Hellraiser、Jeff Loomis Signature model
ジョン5(John "5" Lowery)マリリン・マンソン(MARILYN MANSON)Ibanez製AX7
キコ・ルーレイロ(Kiko Loureiro)アングラ(ANGRA)
 『テンプル・オブ・シャドウズ(TEMPLE OF SHADOWS)』のバッキング
ソロ『フル・ブラスト(FULL BLAST)』#7「Corrosive Voices」のリフ
ESP製
トニー・マカパイン(Tony Jeff MacAlpine)プラネット・エックス(PLANET X)
 『ユニヴァース(UNIVERSE)』
キャブ(CAB)
 『キャブ(CAB)』
※ヴィタリ・クープリ(Vitalij Kuplij)
  『ヴイケイスリー(VK3)』E2より低い箇所があり、時期的に7単弦ギターを使い始めた時期ではあるが詳細確認中。
Carvin製
バズ・マクグラス(Buz McGrath)アンアース(UNEARTH)
『(THE ONCOMING STORM)』
アイバニーズ製RG7
フレデリク・マンベリ(Frederik Mannberg)ノクターナル・ライツ(NOCTURNAL RITES)ESP製Stephan Carpenter model
キャパリソン(Caparison)製デリンジャー7(Dellinger 7)
松本隆弘(Tak Matsumoto)ビーズ(B'z)
 2003年9月『ビッグ・マシーン(BIG MACHINE)』#08「ビッグ・マシーン(Big Machine)」
 2007年12月『アクション(ACTION)』#1「純情Action」, #2「黒い青春」, #5「パーフェクトライフ」, #7「Friction -Lap 2-」
Ibanez製AX 7 Custom model
クリスティアーノ・ミリオーレ(Cristiano Migliore)ラクナ・コイル(LACUNA COIL)ESP製Stephan Carpenter model 7string
ミヤ(Miya)MUCC
 『球体
Doragonfly製EXL 7st with Paint Doragonfly製EXL 7st
ベン・ムーディ(Ben Moody)エヴァネッセンス・フィーチャリング・ベン・ムーディ(EVANESCENCE feat. Ben Moody)
 『フォールン(FALLEN)』#01「ゴウイング・アンダー(Going Under)」、#07「イマジナリー(Imaginary)」録音のみ。ライヴでは6単弦ギターのアルゼンチン・ギタロン風B1調弦
エミル・ノーベリ(Emil Norberg)サヴェイジ・サーカス(SAVAGE CIRCUS)
 ※メインは7弦だが『ドリームランド・マナー(DREAMLAND MANOR)』は総て借り物の6単弦で録音
アイバニーズ製RG1077
ニルス・ノーベリ(Nils Norberg)ノクターナル・ライツ(NOCTURNAL RITES)ESP製Stephan Carpenter model
キャパリソン(Caparison)製デリンジャー7(Dellinger 7)
オガ・キッド(OGA-KID)麻波25
 『PH-OSY
Ibanez製RG Custom model
マーカス・ポール(Markus Pohl)シンポース(SYMPORCE)
マーカス・パウエル(Markus Powell)ブラインドスポット(BLINDSPOTT)ESP製Stephen Carpenter model HZ-280SC3 A1-tuning
松岡あの字()五人一首
 『五人一首』(2000)、『内視鏡世界』(2005)、「無礙の人」(2002)に使用か?
シェクター製AR-07
フェデリコ・プレリ(Federico Puleri)ヴィジョン・ディヴァイン(VISION DIVINE)
 所有はしているが基本的に6単弦ギターを使用。
マルク・リッゾ(Marc Rizzo)Peavy製 B. C. Rich Stealth チャック・シュルディナー tribute model
ルイザ(Ruiza)ディーDESP製M-Seven
ブルーノ・サンドリ(Bruno Sandri)セレラータ(SCELERATA)Ibanez製Universe
ジョー・サトリアーニ(Joe Satriani)ジー・スリー(G3)
 日本公演「サーチング(Searching)」
Ibanez製22fJS 7string 初号機・2号機
マイケル・シェンカー(Michael Schenker)エイミー・シュガーとのプロジェクトでリハのみ使用。贈答品
セス(Seth)ビヒモス(BEHEMOTH)LTD
島 紀史(Norifumi Shima)『ディストラクション・アンド・クリアエイション(DESTRUCTION AND CREATION)』#11「エンジェルズ・イン・ブラック(Angels in Black)」バッキングで使用シェクター製7弦
ロジャー・スタフルバッハ(Roger Staffelbach)アーテンション(ARTENSION)
 『セイクリッド・パスウェイズ(SACRED PATHWAYS)』 数曲のリズムパート
アイバニーズ製
ヤニ・ステファノヴィック(Jani Stefanovic)ディヴァインファイア(DIVINFIRE)
 『グローリー・ザイ・ネイム(GLORY THY NAME)』 全曲のリズムと数曲の旋律
アイバニーズ製RG7-42BK
杉田一浩(Kazuhiro Sugita)バンプ・アンド・グラインド(BUMP'N GRIND)
 『ウェルカム・トゥ・ザ・リアル・ワールド(WELCOME TO THE REAL WORLD)』
Ibanez製UV777P
ブレット・スタインハジズ・キッチン(HAJI'S KITCHEN)
ケン・スージー(Ken Susi)アンアース(UNEARTH)
『(THE ONCOMING STORM)』
アイバニーズ製UV7、S7、S7 Custom
シュー(Syu)ガルネリウス(GALNERYUS)
 『アニメタル・マラソン・セヴン-ファイト!ザ・メタル・ヒーローズ-(ANIMETAL MARATHON VII -FIGHT! THE METAL HEROES-)』「はるかなる愛にかけて(Harukanaru Aini Kakete)」  2008年『レインカーネイション(REINCARNATION)』#2「Blast of Hell」, #8「Stardust」
高橋史男(Fumio Takahashi)五人一首
 発表作品は松岡あの字の欄を参照
アイバニーズ製RG7-620
テレク・テイラークリミニー(CRIMENY)
 『ピート(PEAT)』
ダブル・オート・スプール(DOUBLE-OUGHT SPOOL)
オラフ・トーセン(Olaf Thörsen)ラビリンス(LABŸRINTH)
ヴィジョン・ディヴァイン(VISION DIVINE)
 『センド・ミー・アン・エンジェル(SEND ME AN ANGEL)』リードでM-II、リズムでホライゾン・カスタム使用
 『ザ・パーフェクト・マシーン(THE PERFECT MACHINE)』
ESP製M-II based Custom、Horizon based Custom
エリアス・ヴィルヤネン(Elias Viljanen)ソナタ・アークティカ(SONATA ARCTICA)
 2005年2月4日渋谷AX #08「Broken」, #14「Graven image」, #15「Don't Say A Word」
Ibanez製RG1527
デイヴ・ウェイナー(Dave Weiner)『シャヴ・ザ・サン・アサイド(SHOVE THE SUN ASIDE)』Ibanez製Custom model based on RG7
マグナス・ウィッチマン(Magnus Wichmann)セレラータ(SCELERATA)Ibanez製Universe